精米から蒸し米
醪(酒)づくりはまず精米から始まります。精米を終えた米は、洗ってから一晩水に浸され、大きな蒸し釜で約60分蒸されます。精米歩合は平均して83%程度。一般の日本酒よりも低いのは、美味しい酢づくりのために、タンパク質を多く残す必要があるからです。
近頃は酒屋さんでも、精米は他にまかせるところが多いようですが、私どもでは品質第一に、目の届くところで造りたいという考えから、精米も自社蔵で品種ごとに丁寧に行っています。自社で一貫して行うことで、精米機の中でよその農薬使用米が混ざることを避けられるからです。
自社蔵の精米機で精米します
米麹づくり
蒸し上がった米を40℃まで冷まし、米粒に麹菌をまんべんなくまぶしてから、麹菌を繁殖させるため麹室へ移します。
麹室はむっとするような蒸し暑い空間。室温29℃、湿度70%に保たれています。固まった米粒に何度も手を入れてほぐしてやりながら、丸2日かけて糖化力とタンパク分解力の強い麹を作ります。
できあがった麹は、麻布の上に広げて常温まで冷まします。良い麹を作ることは良い醪(酒)造りの要、つまり美味しい酢造りにおいても重要なポイントとなります。
蒸しあがった米を広げて麹菌をまぶします。
酒母づくり
麹ができあがると、酒母を造ります。小さなタンクに水と麹を入れ、酒造用の酵母を加えます。これに蒸し米を入れて撹拌すると、酒母の仕込みは終わります。
仕込み終えた酒母は、7℃から20℃の間で約2週間、複雑で細やかな温度管理をしながら酵母を増殖させます。この厳密な温度管理が、元気な酵母を増やす決め手となります。
出来上がった麹を広げて冷まします
醪(酒)づくり
酒母ができると大きなタンクに移し替え、醪(酒)の仕込みが始まります。水、麹、蒸し米の順にタンクに投入しますが、一度に大量に入れると発酵力が弱まるため、3回に分けて行います(三段仕込み)。
最初の投入から2日後にはパシャパシャと音を立てて発酵が始まり、約30日かけて醪(酒)が出来上がります。この間杜氏は、深夜でも発酵の具合を確かめ櫂を入れるなど、つきっきりで世話をします。
出来上がった醪(酒)は、「酢もともろみ」と呼ばれます。アミノ酸が多く、味は濃醇甘口。この雑味と旨味が、のちに美味しいお酢へと変わるのです。
櫂入れの様子
自社蔵の精米機で精米します
蒸しあがった米を広げて麹菌をまぶします。
出来上がった麹を広げて冷まします
櫂入れの様子