深いお酢が導く丹後食のクオリティ
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深いお酢が導く丹後食のクオリティ

田茂井義信 / Bar Belini オーナーバーテンダー

飯尾醸造のお酢との出会い。それは時に、人生を変えるほどの出会いにもなります。本インタビューシリーズでは、私どものお酢と繋がり合う皆さまにお話をお伺いしています。

バーテンダー歴28年。生まれ育ちは京丹後市網野町。地元の高校を卒業して沖縄のリゾートホテルに就職。半年を過ぎた頃、突然バー勤務への移動の辞令が。そうして、田茂井義信さんのバーテンダー人生が成り行きで始まりました(笑)。そこから東京のホテル勤務などを経て18年ほど前に帰郷。丹後町の旅館での勤務を経て独立。Bar Beliniを立ち上げ、京丹後市で営業を続けておられます。

田茂井義信さん

田茂井さんが手掛けるBar Belini。富士酢をメインで使っているのは「クラフトコーラ」です。富士酢プレミアムに丹後産のハーブ、ローズマリーとローリエを漬け込んでハーブビネガーにしたものにオリジナルシナモンシロップを合わせて炭酸で割ったもの。またこのコーラにラム酒を合わせればラムコークやキューバリブレといったカクテルに。どんどんと枝分かれして広がっていくのだと言います。

Beliniの他に約10店舗ほどが集まって2021年に丹後クラフトコーラ組合を組織。世界に先駆け、丹後の4つの市町を世界初のクラフトコーラの街と宣言しました。丹後クラフトコーラの定義は「最低1種類は丹後産のものを使う」というもの。レシピはそれぞれの店が各々の提供する食事やコンセプトに合うように創意工夫したもので「あえてみんなバラバラ」だそうです。

Beliniのコーラはレモンやライムを搾って飲むと美味しいことから酸との相性が良いことに注目。しかし柑橘類は季節によって入手しにくい。そこで着目したのが地元の飯尾醸造のお酢。ドリンクベースとしては紅芋酢も人気ですが、コーラということで色にもこだわり琥珀色の「純米富士酢」を試してみたそう。「でも、米酢のイメージが図太かった」。求めたのは上品さとクリアさ。そこで「富士酢プレミアム」を試したところまろやかさと香りのバランスがハマったと。さらに冒頭で触れたハーブビネガーとなるのですが、これがコーラにするだけでなくあっさりとソーダで割るだけで和洋中どんな料理にも合うドリンクになるのだそう。

田茂井さんの思う富士酢とは「ただただ深い!」。

「味の奥深さ、造りも考えも深く、熟成も長い。このお酢を薄っぺらいという人はいなくて、バランス、酸と旨みと香りのバランスが秀逸で、私の周りの思いのある料理人さんはみんな使っている」のだと言います。

宮津天橋立で夏の終わりに開催されるビーチサイドバー「Les Pins(レ・パン)」。北近畿の15を超えるこだわりの名店、飲食店が集う人気のイベントです。田茂井さんが旧知の飲食店と始めて2024年で10年を迎えました。そこに来場されるお客さんは「子供からお年寄り、お酒を飲める人も飲めない人も、食事を楽しむ人も、音楽を楽しむ人も、雰囲気を楽しむ人も」様々。みんながその場所で過ごす時間を楽しんでいます。それこそが「Bar(バー)」なのだと田茂井さん。当初は観光の方向けにドリンクを提供しようというイベントだったのが、地域の方も多く訪れる一大イベントに。バー文化と呼べるものがなかった丹後でバーという存在が受け入れてもらえるようになったという実感が正直、嬉しいと言います。

「Les Pins(レ・パン)」に集まるお店はもとより丹後の飲食店のクオリティが10数年前とは比べ物にならないぐらい上がってきていると、田茂井さんは言います。また農業生産者のクオリティも上がってきていてそれらが連携していて更にレベルアップしているのだと。

実はその中心にいるのが飯尾社長達のグループです。「飯尾社長が掲げた『2025年に丹後をサンセバスチャン(食の都)に』という目標が結実しようとしていると感じる」と、田茂井さんは話してくれました。

(聞き手:京近 淳 撮影:中井 由紀)

田茂井義信

Bar Belini オーナーバーテンダー

田茂井義信

丹後ではファーストコールのバーテンダー。Beliniの一番の人気メニューはバナナジュース!? 誰もが楽しめるバー文化の発展を目指して活動する伝道師。